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2015年11月
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新しい一歩を踏み出すこと、新しい言葉を発することは、人々が最も恐れることである。

『罪と罰』ドストエフスキー

人間誰しも自分の経験、体験したことを頼りに判断し行動するものです。何か新しいことに挑戦する時であっても、実は自分の経験、体験から予測し、必ず保険をかけて一番リスクのない選択をするのではないでしょうか?

 

仏教には『二河喩(にがゆ)』というたとえ話があります。これは、旅人が東の迷いの岸から、西のさとりの岸に向かう話なのですが、その道は火の河・水の河に挟まれた危険な道です。とてもこの道は渡れないと引き返そうとしても、化け物が私を誘惑し、殺そうと迫ってきます。ならば、旅人はこの道を渡るしかないと決心します。すると、東の岸からは西に向かいなさいというお釈迦さまの声が、西の岸からは阿弥陀仏の招き喚ぶ声が聞こえてきました。旅人は素直に迷うことなく道を渡り、無事西の岸に至ることができた、というお話しです。

 

私は学生時代、授業にも出ずに仲間と一緒に遊んでおり、誰かが「勉強する」と言うと、周りが「勉強なんて明日にして飲むぞ」というような生活でした。しかし、だんだんその生活に疑問や不安を抱くようになりましたが、とりあえず今が良ければそれでいい、今は問題がないからいいと、不安から目を反らしてきました。しかしそんな私のことを見通したように「お前、空しくないのか?」という人が現れ、それが自分に向き合うきっかけとなりました。そして『二河喩』で東から西に向かうことを勧められるように、私は僧侶になることを勧められ、僧侶の道を進む決心をしました。すると今までの仲間やバイトの社員は「お前が僧侶って(笑)」「社員になれよ」「こっちに残っとけ」などと引き留めるのです。まさに東からの誘惑の声です。それは、かつての仲間であり、かつての自分なのです。その誘惑の声には何も悪気があるわけでもなく、邪魔する気もないのです。自分自身が西に歩き出すことへの不安や恐れがあり、それを消し去るために、彼らを化け物として見てしまうのかもしれません。

 

西に歩き出しても自分の欲に囚われて周りの河に飲まれたり、誘惑の声に従ったりしてしまいます。だからこそ、自分を西に勧める声と、西から喚ぶ声に耳を傾け続けなければいけないのです。それが聞法です。そして、誰に強制されることなく自分で選び、西を目指すことが仏さまから願われています。にも関わらず、その一歩を踏み出せない、招き喚んでくださる声に素直に「はい」と言えない私が、最も恐れていることは何なのか、ということが聞法することによって、常に問われているのです。

 

江戸川・本坊 田中 雄也

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